当院の立地をご存じの方はおわかりになる話です。
ここ数年、我が獣医界では診療費不払い問題が表面化し困っていらっしゃる先生方も少なからずいらっしゃいます。当院はここ十数年そういった被害は被ることはありませんでした。当院は誰かの紹介での来院がほとんどなので、そういったこととは無縁だった訳です。ここがこの立地の利点だと思って建築しましたからとりあえず成果を出していました。
がしかし、3月下旬、若い女性が猫を連れてきました。実は市内の先生からの紹介です。大腿骨骨折の症例です。その紹介病院から渡されたレントゲン画像のCD持参です。そこの先生私の名前を指名されたらしく、とにかく治してやって欲しいとおっしゃっていました。もちろん、概略の日程と予算をお伝えし、預かって翌日オペとなりました。未去勢オス猫だったので、後から電話で追加料金は掛かるけど、ついでに去勢しませんかと提案したところ、承諾を得ることが出来たので同時に行いました。さて、退院予定の日に当院スタッフが入院コストを伝えて退院時間をお伝えすると、お金が一度には払えないとのお話し、それも3000円くらいしか払えないだって。電話を代わると、やれ仕事が暇、食べるお金も無い、直ぐに迎えに行けない、親は死んだ、友達もお金を貸してくれない、カードも持っていないし作れない・・・。
まあ、何だかんだといってもこりゃあかん。猫だけ置いて帰られてもこっちも困るし、と言う事で予定の数日後に3000円だけ置いて猫を連れて帰られました。
まあ、困ったことですが、当の本人は全く困った様子はありません。市内の獣医さんの紹介だから、流石の私の眼力も作用することなく、大きな授業料を払ってしまいました。
タクシーに乗ったり、バスに乗ったらお金を払う事が常識と思いますが、この人達はそれが無いと思うと本当に社会基盤の崩落、崩壊ですよね。一種のテロリズムとでも言えば大袈裟でしょうが、これからの日本はこんな人も増えてくるのでしょう。皆さんもお気を付け下さい。